A男さん> 最近眠れなくて、、、、。
B先生> そうですか、、、。周りにはなかなか理解してもらえないことが多いのですが、つらいことですよね。
A男さん> 毎日、4時間くらいしか眠れないんです。
B先生> 仕事が忙しくて眠る時間がないんですか?
A男さん> 仕事でのストレスはあるんですが、眠る時間はあるんです。就寝しても寝つきが悪いし、途中で目が覚めてしまうことも多くて、、、。
B先生> なるほど、ストレスが多くて、不眠気味なんですね。
A男さん> 快適な睡眠をとろうと思って、①運動したり、②起床時間を一定にしたり、②アルコールやコーヒーも控えて、いるんですけどね、、、。
B先生> 年齢とともに睡眠時間が短くなるのは、ある程度仕方がないのですが、起きているときも眠気が続いていて睡眠不足があるのに眠れないのは良くないですね。
A男さん> はい、昼間も眠たくて、ついイライラします。もう、1か月くらいこの状態が続いています。なんとかしないと、と思って早く就寝するのですが、目が覚めてしまうんです。
B先生> そうですね。早く床に入ると、眠ろうとするプレッシャーで目がさえてしまうことも多いようです。ストレスのもとは続きそうですか?
A男さん> 職場環境がちょっと上手くいっていないので、、、、
B先生> 不眠が続くと、「うつ」などのメンタル不調につながりやすいだけではなく、高血圧や糖尿病などにも悪影響をあたえてしまいます。
A男さん> どうしたらいいでしょうか、、、。
B先生> まずは、医療機関にご相談ください。特に「2週間以上不眠が続く場合」は要注意です。睡眠のなやみで医療機関を受診する方は多いんですよ。原因はそれぞれですので、生活習慣の改善や気持ちの持ちようで良くなることもありますし、薬で一時的に睡眠のリズムをつけると楽になることも多いのです。
A男さん> 睡眠薬を飲むと中毒になりそうで怖いのですが、、、
B先生> 今は良い薬が増えてきているので、薬の副作用で困っている方は殆どいませんよ。むしろ、長年の不眠が解消されたことで、健康的に過ごせるようになったと、喜ぶ方も多くいます。ストレスは不眠の原因になりますが、逆に不眠がストレスになることもありますよ。
A男さん> なるほど、私の場合も、ストレスがなくなれば眠れるようになるのでしょうが、一時的に薬をのんで良質な睡眠をとることで、逆にストレスに強い精神を取り戻せるかもしれません。
B先生> 一番気をつけて欲しいのはアルコールで眠ろうとすることです。私はお酒が弱いのでアルコールを飲むと眠たくなるのは良く分かるのですが、お酒の場合は催眠作用はあるのですが数時間たつと夜中に目が覚めることが多いのです。また、お酒は翌日に気分を落ち込ませる要因にもなるので「抑うつ感」が強くなります。また、お酒を飲んでも眠れない体質になってしまい、ついついアルコール量が増えてアルコール中毒になってしまう人もいるのです。
A男さん> 実は、私の叔父がアルコールで苦労しているのです。ついついお酒に手が伸びてしまう日もあります。今後は、私も気をつけます。
睡眠障害 (少し詳しく)
健康な暮らしには、質の良い十分な睡眠が不可欠です。
人間だけでなく、ほとんどの生物にとって睡眠は欠かせないものです。
睡眠をとらないと体の小さな動物は短期間で衰弱して死んでしまいます。
日本では、一般成人のうち約2割が不眠に悩んでいます。
睡眠時間が短いと、高血圧、糖尿病、肥満、免疫力の低下、精神不安定、を引き起こします。
睡眠障害には、
不眠症:生活習慣や精神的なストレスによって慢性的に続く不眠のこと
睡眠時無呼吸症候群、痛みによる不眠、精神的ストレスによる不眠
睡眠不足:仕事が忙しいなどの理由で、睡眠時間が取れずに調子が悪い
過重労働、交代勤務
<健康づくりのための睡眠指針 ~快適な睡眠のための7箇条~(厚生労働省)>
(1) 快適な睡眠でいきいき健康生活
快適な睡眠で、疲労回復・ストレス解消・事故防止
睡眠に問題があると、高血圧、心臓病、脳卒中などのリスクが上昇
快適な睡眠をもたらす生活習慣
~定期的な運動習慣は熟睡をもたらす
~朝食は心と体のめざめに重要、夜食はごく軽く
(2) 睡眠は人それぞれ、日中元気はつらつが快適な睡眠のバロメーター
自分にあった睡眠時間があり、8時間にこだわらない
寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る
年齢を重ねると睡眠時間は短くなるのが普通
(3) 快適な睡眠は、自ら創り出す
夕食後のカフェイン摂取は寝付きを悪くする
「睡眠薬代わりの寝酒」は、睡眠の質を悪くする
不快な音や光を防ぐ環境づくり、自分にあった寝具の工夫
(4) 眠る前に自分なりのリラックス法、眠ろうとする意気込みが頭をさえさせる
軽い読書、音楽、香り、ストレッチなどでリラックス
自然に眠たくなってから寝床に就く、眠ろうと意気込むとかえって逆効果
ぬるめの入浴で寝付き良く
(5) 目が覚めたら日光を取り入れて、体内時計をスイッチオン
同じ時刻に毎日起床(夜寝るのが遅くなって眠たくても同じ時間に起きる)
早起きが早寝に通じる
休日に遅くまで寝床で過ごすと、翌日の朝がつらくなる
(6) 午後の眠気をやりすごす
短い昼寝でリフレッシュ、昼寝をするなら午後3時前の20~30分
夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響
長い昼寝はかえってぼんやりのもと
(7) 睡眠障害は、専門家に相談
睡眠障害は、「体や心の病気」のサインのことがある
寝付けない、熟睡感がない、充分眠っても日中の眠気が強い時は要注意
睡眠中の激しいいびき、足のむずむず感、歯ぎしりも要注意
<睡眠障害の原因となる病気>
①むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群);
脚や腕がむずむずする、虫が這っている感じ、ぴくぴくする、などの症状があり、主に夕方から夜にかけて現れます。
脚や腕を動かすと症状が軽くなるため、入眠を阻害されたり、熟睡できないことがあります。
専門医(神経内科)の受診が有効です。
②睡眠時無呼吸症候群:
寝ている間に、いびきと息が途中でとまるため周りの人から指摘されて気づきます。
呼吸が止まり血液の酸素が減るために、熟睡できません。睡眠時間の割に熟睡感がなく、昼間に眠気が襲います。
専門医(耳鼻科、呼吸器科)への受診が必要です。
③うつ病:
うつ病などのメンタル障害では不眠の症状で発見されることがあります。夜眠れない、朝起きられないなどが2週間以上続く時は注意が必要です。専門医(心療内科、精神科)への早めの受診が有効です。
④中枢性過眠(ナルコレプシー):
夜間の睡眠に問題がないにもかかわらず、日中に病的な眠気が出現し居眠りしてしまう。
⑤不眠症:
原因がないのに眠れないことが続く時や眠れないことで体の不調や日中の活動に影響がある場合は病院を受診しましょう。まずは、かかりつけの先生(内科でも他の科でも構いません)に相談してみましょう。
<交代勤務と睡眠>
昼寝には夜勤中の眠気を減らす効果があります。20分の仮眠でも有効です(できれば1-2時間)。
夜勤中にできるだけ仮眠をとりましょう。眠気が減って作業能率が高まり、注意力が保たれるので事故やミスも少なくなります。
仮眠から覚めたら、カフェインが入った飲み物や食べ物を摂りましょう。
強い光には、眠気を減らして覚醒度を上げる働きがあります
夜勤中の職場は十分に明るくしておき、仕事が終わったらサングラスなどで強い光を避けましょう。
寝るときは遮光カーテンや厚手のカーテンで部屋を暗くします。