A美さん> 子供って良く「すり傷」とか「切り傷」とかつくりますよね。家での消毒はどうしたらいいですか?
B医師> ほとんどのキズは、バイ菌や砂などの異物を水道水で良く洗い流せば自然に良くなります。昔はよくイソジンや赤チンなどで消毒していたのですが、最近は多くの病院で「消毒は良くない」って言われています。
A美さん> えっ、消毒しなくても良いんですか?キズにバイ菌とかが残りそうで怖い気もしますけど、、、。
B医師> 消毒してもバイ菌を全部殺すことはできないし、「消毒薬がキズの治りを遅くしてしまう」、と言われているんです。でも、自分がケガをしたときは、消毒することもありますよ。要は、どの消毒薬だから治りが速いとか言うことはないので、家に消毒薬があればキズの中の痛いところじゃなくてキズの周りを消毒して、消毒薬がなければそのままでも構わないと思いますよ。
A美さん> じゃあ、絆創膏はどうですか?今は、ウェットタイプの絆創膏を良く見かけるようになりましたけど、、、。ちょっと高いんですよね、、、。
B先生> 絆創膏にもいろいろあって悩みますね。キズの治りに関して言えば、やはりウェットタイプのものの方が早く治るようです。ただ、ほとんどのキズは昔ながらの絆創膏でも治るし、絆創膏がなくても時間をかければよくなります。絆創膏の役割には、子供がキズを触らないようにする、キズをむき出しにしたままだと触れると痛い、血液とかが服にしみないようにする、水につけると痛い、ということもあると思います。その時の状況に応じて絆創膏を使い分ける工夫も大事かもしれません。個人的には、ぬれたり、むれたり、汚れた絆創膏を貼りつけたままにしておくのが一番良くない気がします。
A美さん> どんな時に病院に連れて行けば良いですか?病院に行くと、高そうだし、突然「縫う」と言われたりしたら不安だし、何回も通うのも大変ですよね。
B先生> 最初に言いましたが、普通のキズであれば、時間をかけさえすればキズは治ります。ただ、心配な点があれば、外科医はキズの専門家ですから是非気軽に相談してみてください。「こんな小さなキズで心配性じゃないの?」とかは思いません。特に、血が出ている場合、指の関節など動かすところのキズ、痛いキズ、汚いキズ、高齢者のキズ、血をサラサラにする薬(抗血小板薬や抗凝固薬)やキズの治りを遅くする薬を飲んでいる場合、糖尿病などの基礎疾患がある人、子供の顔や目立つところのキズ、痛みが強い場合、犬や猫に咬まれた場合、は病院に相談した方が良いでしょう。
A美さん> ケガしてからどれくらい経ってから受診するのが良いのでしょうか?
B先生> 早ければ早い方が良いですよ。病院を受診するなら、6時間以内には診せてもらいたいですね。
A美さん> どういう時に、キズを縫ったりする必要があるんですか?
B先生> 最近は良い止血用品やテープでのキズ閉鎖材が出てきているので、縫わないといけないキズは減ってきています。それでも深いキズ、血が出ている場合、関節などの動かす部位は縫合した方が良いでしょう。また、子供や女性のキズで、縫った方がきれいに治る場合には縫合することを奨めています。
A美さん> 「縫合」って言ったら痛いでしょう?
B先生> 麻酔を上手にかけると「縫う」時の痛みはありません。麻酔は、注射なので無痛ではないのですが、注射する場所や注射のうち方を工夫をすることによって、痛みを減らすことができます。個人的には、子供さんのケガで、「押さえつけずに、恐がらずに、泣かないように」、麻酔注射できるように心がけています。
A美さん> 縫った後のキズは痛みますか?
B先生> キズが乾燥したり、ずれたりすると痛みが増しますので、どちらかと言えば縫ったキズの方が痛みは少ないようです。痛み止めをのめば、より痛みを減らすことができます。また、縫合した場合は2日くらい経てばキズがつくので、水につけたり、風呂に入ったり、頭なら髪を洗ったり、できるようになるのも利点です。
A美さん> キズで、何日くらい通院が必要ですか?
B先生> キズの状況によって変わります。感染のないキズで受診し、その日に縫合した場合、翌日に出血や感染などの問題がなければ、1週間後の抜糸の日に受診すれば大丈夫でしょう。もちろん、痛みが強くなったり、腫れてきたり、出血したり、した場合には受診が必要ですね。
A美さん> わかりました。ほとんどのキズは自然治癒力で治るので、水道水で洗っておけばよいけど、対応に困った場合には医療機関を受診すれば診てもらえるってことですね。
B先生> 気になるキズがある場合は、我慢せずに早めに受診してください。痛みどめを飲むだけでも、ずいぶん楽になりますよ。