A子さん>この前、健康診断を受けたら血圧が高いって言われたんですよ、、、。
B先生>そうですか。血圧が高いって言われたんですね。私も血圧が高めなのでわかりますが、ちょっと気分が落ち込みますよね。ところで、健康診断での血圧はどれくらいだったんですか?
A子さん>上が145で、下が88だったんですよ。これって、高血圧?
B先生>上の血圧で140、下の血圧で90、が高血圧の境目です。上か下の一方が基準値より高いと高血圧と診断しています。ただ、健康診断や病院で血圧を測ると普段よりも高く出る人が多いんです。高血圧で治療が必要かどうかは、「安静時血圧」で判断しています。健康診断などでは「安静時血圧」を測定するのは難しいので、家で血圧を測ってみると良いですよ。安くありませんが近くの家電量販店で5000円程度で売っています。
A子さん>血圧が高いって言われても、普段は何ともないし、、、。
B先生>血圧は余程高くないと症状は出ないんです。血圧が高くて頭痛や気分が悪くなるっていうのは、重症なんです。でも、症状が出ない軽い高血圧が本当は怖いんです。症状がないからと言って高血圧を放置していると動脈硬化になってしまうんです。
A子さん>動脈硬化って良く聞きますけど、近くに動脈硬化で困っている人っていないんですけどねぇ?
B先生>動脈硬化が進行すると全身いたるところの血管がボロボロになります。ボロボロになった血管は詰まりやすくて破れやすいので、心臓病や脳卒中を引き起こす原因になるんです。周りに動脈硬化の人がいなくても、脳卒中や心臓病で死亡したり、介護が必要になった人はいるでしょう?
A子さん>えぇ。私の母も脳卒中で寝たきりになってしまったんです。そういえば、高血圧があるって言っていました。
B先生>高血圧に限らず、コレステロールや糖尿病、メタボなどの生活習慣病に対して治療が必要な理由は、動脈硬化を予防して、将来の心臓病や脳卒中を予防するためなんです。
A子さん>なるほど、高血圧の治療をするのは、健康で自立した生活を長く続けるための予防なんですね。症状がなくても治療をしないといけないことは分かりました。でも、いつ治療を始めた方が良いんですか?高血圧で薬を飲むと止められないって聞きますけど、、、、。
B先生>そうですね、、、。一概には言えませんが、健康診断などで血圧が高いと言われた場合には、「減塩」「運動」など健康を意識した生活を半年くらい頑張ってみましょう。それで下がれば、生活習慣の改善だけで薬は必要ありません。
A子さん>できれば薬は飲みたくないので、頑張ってみます。
<<<<半年後>>>>
A子さん>先生。あの後、家で血圧測るようにしたら、やっぱり血圧が高かったんです。それで、味付けを薄くして、好きな麺類の汁も飲まないようにして、30分のウォーキングを始めたんです。そうしたら、血圧も下がってきました。
B先生>それは良かったですね。減塩と運動を続けましょう。ただ、この前の話ではお母さんが高血圧だったとのことですから、今後も血圧には注意が必要ですね。
A子さん>はい、気をつけます。それで、主人のことも気になって、、、。血圧を測らせたら私より高かったんです。それで、一緒に生活習慣の改善をすすめたんですが聞く耳を持たないんです。私は下がったんですが、主人は高いままで、、、。
B先生>そうですか、、、。軽い高血圧があった場合、生活習慣の改善で血圧が下がれば問題はないのですが、①生活習慣の改善ができなかった場合や②生活習慣の改善でも血圧が下がらなかった場合、高血圧を放置すると動脈硬化が進んでしまうので、医師のサポートが必要です。今度は、ご主人と一緒に来院してください。身内の人が脳卒中や心臓病を患ってしまうと介護しなければならない家族も大変ですよ、、、。
A子さん>分かりました。
高血圧 (詳しい説明)
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す圧力のことです。
上の血圧=収縮期(最高)血圧=血液を送り出す時心臓が収縮するときの圧
下の血圧=拡張期(最低)血圧=血液を戻すため心臓が拡張しているときの圧
収縮期血圧と拡張期血圧の値が、どちらか一方でも正常範囲より高いと高血圧と診断されます。
高血圧の基準は 140/90 以上です
日本人の高血圧の約90%は遺伝的要因や生活習慣の乱れが重なって起こる、「本態性高血圧」です。日常生活で血圧管理が必要な人は、5500万人に上ると考えられていますが、実際に治療を受けられている方は1000万人だけです。
Q 血圧高いって言われるけど。別になんともないし、、、。
A 高血圧そのものでは、症状はほとんどありません。ただし、放置していると重篤な病気を引き起こします。そのため、高血圧は“サイレントキラー(沈黙の殺し屋)”と呼ばれます。
ただし、高血圧で症状がある場合は重症です
<高血圧脳症>:急激に血圧が上がり、脳の圧力が上昇。頭痛、吐気、麻痺、意識障害、けいれんなどを引き起こし、緊急治療が必要となります。
<悪性高血圧症>:血圧220/130以上などの基準を超えた状態で放置すると、1年以内の死亡率が80-90%と言われています。
Q 血圧が高いままだと、どうなりますか?
A 動脈硬化となり、命にかかわる脳卒中、心筋梗塞(心不全)、腎不全(人工透析)を招くことがあります。
血圧の高い状態が続くと血管の壁が硬く厚くなってきます。この状態が「動脈硬化」です。動脈硬化が進むと血管が破れやすくなったり、詰まりやすくなります。いったん動脈硬化が進行すると、今の医学では元に戻すことができません。
Q 健康診断で高血圧と言われたら?
A まずは、家で血圧を計りましょう
病院での血圧は高いけど、家では正常の方も多いのです。それらの人を、「白衣高血圧」と呼びます。現状では治療は必要ありません。
逆に、病院では低く、家で高い人は、「仮面高血圧」と言われ、治療が必要になります。
家で計っても、やっぱり血圧が高かった!
病院にかかることをおすすめします。
高血圧だから、すぐに降圧薬による治療が必要なわけではありません。
いつから降圧薬を使い始めるかは、高血圧の程度や血管の状態で決まります
出来ることから頑張りましょう
生活習慣を見直しましょう(高血圧の方も、予備軍の方も)
<食事>
塩分制限が必要です。高血圧治療での理想は塩を6g/日です
(が、現実的には困難)
摂取量を抑えることが大切です。
そばやうどんを食べた時は汁を飲まない
味噌汁をおかわりしない
醤油だけでなく、ソースやケチャップも減らす
野菜、果物を多く取ると血圧が下がることがわかっています。
<塩分量 目安>
ラーメン6g(ほとんど汁の中です)
味噌汁1杯 1.9g
かつ丼 4.9g
チャーハン 4.7g
醤油(大さじ1杯) 2.7g
梅干し(1個) 1.6g
にぎりずし(醤油) 4.6g
<お酒>
アルコールは適量であれば心筋梗塞などを予防します。
ただし、飲みすぎると血圧が上昇し脳卒中などの危険性が高くなります。
日本酒1合程度は(血圧に関しては)健康的な適量だと考えられています
全く飲酒しない、「休肝日」を作りましょう。
<運動>
肥満の解消で80%の人が、血圧を下げることができるといわれます。
激しくない有酸素運動
一日合計30分(できれば連続30分だが、小分けでも)
できれば毎日(週に3回以上)
<禁煙>
タバコを吸うと血管が狭くなり血圧が上がります
Q 薬を飲み始めるとやめられない?
A 生活習慣を改善することで原因(肥満など)を取り除き、血圧が目標まで下がったら薬はやめられます。
しかし、現実的には、そこまで厳密に生活習慣を管理できる人は多くありません。
絶対に自己判断で薬をやめてはいけません(リバウンドで急激に血圧が上がってしまします)。