肺炎
肺炎の多くは細菌の感染によって起こります。他には、インフルエンザなどのウィルス、カビ(真菌)、薬の副作用、放射線の影響、原因不明の肺炎、などがありますが多くはありません。
日本人の死因では、2010年には脳卒中を抜き、3位となってしまいました。決して油断できない病気です。特に、高齢で、心臓病、糖尿病、動脈硬化、脳卒中などの基礎疾患がある方、肺の病気を持っている方、ベッドの上で過ごす時間が多い方、誤嚥しやすい方に多く発生します。
若い方でも、睡眠不足、疲れ、飲み過ぎ、過重労働などで、免疫力が落ちている場合があり、油断はできません。
原因としては、多くの統計で①肺炎球菌で、マイコプラズマ、クラミジア、インフルエンザ菌(インフルエンザウィルスではありません)、が続きます。
これらのうち、マイコプラズマ、クラミジア感染については、従来のペニシリン系の抗生剤が効かないことから非定型肺炎と呼ばれます。
肺炎球菌に関しては、高齢者(65歳以上)や心不全、呼吸器の病気、糖尿病、肝臓病の方などでは、ワクチンによる予防が可能です。一度接種した方でも5年経った場合や、接種したかどうかはっきりしない人、も接種可能です。
肺炎については、日本呼吸器学会から、成人市中肺炎診療ガイドライン、が出ています(市中肺炎とは、いわゆる入院していない一般の生活をしている方に発症する肺炎のことです。ガイドラインには院内肺炎版もあり、どちらも大きな書店の医学コーナーで売っています。)
ガイドラインによれば
肺炎のなかで重症度を規定する因子としては
①男性70歳以上、女性75歳以上
②脱水有り(またはBUN21mg/dl以上)
③呼吸不全(SpO2 90%以下)
④意識障害
⑤血圧の低下(90mmHg)
です。このうち、1つ以上が陽性であれば中等度以上の肺炎とされます。
その他、
いわゆるマイコプラズマなどの非定型的肺炎が多い例としては
①年齢60歳未満
②基礎疾患がほとんどない
③頑固な咳がある
④聴診器では、肺の音が正常に近い
⑤痰が少ない
⑥血液の白血球が増えていない(10000/ul未満)
が特徴であり、該当する場合は抗生剤の使用法を考慮する必要があります。
予防としては、上記の肺炎球菌ワクチンの他に、マスク、手洗い、うがいが大切です。
また、高齢者の肺炎では誤嚥が原因となります。誤嚥と言っても、食べた物を吐いて起こることは少なく、寝ている間に唾液を気管に吸い込んで起こることが多いと考えられています。そのため、口のなかをきれいにすること(歯医者での治療や歯磨き)が重要です。
肺炎の治療は、なるべく早い方が効果的です。
高齢者の方では症状が、はっきりせずに、何となくおかしい、きつそう、などの症状が原因で肺炎がみつかることも珍しくありません。
治療が良く効いた場合には1-2週間の治療で改善します(色々書くと怖くなりますが、改善する方の方が多い病気なので、過度に恐れる必要はありません)。
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