便に血が混じる
便潜血で1回でも陽性の場合は精密検査が必要です。しかし、実際に大腸がんが見つかる可能性は5%以下です。また、早期癌の半分は便潜血陰性となりますので注意が必要です。
痔や胃潰瘍でも陽性になるので、直ちに悪い病気を心配する必要はありません。
最も正確な精密検査は大腸の内視鏡検査です早期の大腸がんを発見するためには、レントゲン検査だけでは不十分と考えられています。
便秘と下痢
話題にするのが敬遠されがちですが、快適に便をする習慣は、気持ちよく生活するうえでは大切なことです。
ところが、便秘や下痢で悩んでいる人はとても多いのが現状です。ある事業所の健康診断では、健康な人でも約3割が便秘か下痢に悩んでいました。
<便ができるまで>
口から入った物は食道→胃→小腸→大腸→便として出されます。消化管は、一本道でバイパスはありません。
食べ物は、胃で分解され、小腸で吸収されます。
吸収されずに大腸におりてきた食べ物や小腸の粘液などは、一本道の大腸のベルトコンベア(蠕動)で動かされながら、水分を吸収され少しずつ固くなり、便になります。
大腸まで食べ物が届くまで、正常であれば半日から1日かかります。
<便秘>
正常な排便の間隔はありません。1日1回排便していても便秘で悩まれるかたもおられる一方で、3日くらい排便がなくても調子が良い方もいます。
便秘とは、排便の回数や量が少ない場合や、残便感、おなかの張り、があって本人が困っている状態です。
男性よりも女性に多く、年齢を経ると便秘がちになります。
便秘にはタイプがあります。
弛緩性便秘
生活習慣の偏りや運動不足によって大腸の動きが悪くなって起こる
野菜や海草を食べない人、やせがたの人、運動をしない人
水分摂取の少ない人、食事の量を減らしている人
対策>生活習慣(野菜、海草をとって、腹筋などの運動をしましょう)
けいれん性便秘
ストレスの影響で腸が本来の動きをできないことで起こる
ストレスが多い、睡眠時間が少ない、不規則な生活、腹部の膨満感
対策>腸はストレスを受けやすい臓器です。
ストレス解消を図りましょう・
直腸性便秘
腸の神経が鈍くなって便が出しにくくなる
便意を我慢することが多い、朝に便をしない、残便感がある
対策>便を我慢する習慣は便秘につながりやすいです。
病気からくる便秘
便に血がまじる、腹痛がある、急に便秘になった、
便の色(黒、白、緑)がおかしい、熱がある
対策>医療機関を受診しましょう。
しかし、実際には「あるタイプだけの便秘」という方は少なく、いろいろなタイプの便秘がミックスして起こっていることが多いです。
便秘への対策>
①普段の生活でできること
乳酸菌飲料を飲むこと、ヨーグルトを食べること、食物繊維を多くとる
朝、冷たい飲み物をとる、水分を多めにとる、体操や運動をすること
②効果があるかもしれないこと
腸を休ませるために1日くらい食事を抜く(水分摂取は忘れずに)、
ウォシュレットでお尻を刺激する
食後のコーヒー(タバコ)、おなかのマッサージ、書店に行く
③便秘の薬
便に水分を補って柔らかくする(マグミット、酸化マグネシウムなど)
大腸を刺激して動き促すもの
排便の反射を促すもの(浣腸や坐薬)
一般的には弱い薬から開始します
大腸も少しずつ薬に慣れてしまうので、他の便秘対策も必要です
<下痢>
水っぽい便が出ることです。
普通の便に含まれる水分は70%ですが、水分量が90%になると水のような便に なります
菌を排出するために粘液が増えている場合や、消化液が多い場合、
大腸の蠕動が激しくなって水分を吸収できないときに、下痢になります。
下痢には
急性の下痢と慢性の下痢があります
①急性下痢:
非感染性下痢:消化不良、食べ過ぎ、お腹が冷えて起こる
通常数回の排便でおさまるので、薬は必要ありません。
感染性下痢:熱や嘔吐、腹痛などを伴います
食中毒やお腹にくるカゼ(ウィルス)が原因です 重篤なものもありますが、まれです。 下痢止めは毒素や菌を体内にとどめるため使用してはいけません
水分摂取を心がけ、きつい時や長引くときは医療機関を 受診しましょう
他のヒトにうつる可能性があります。
手洗い、うがいを徹底して下さい
②慢性下痢:
病気からくる下痢:
発熱、嘔吐、腹痛がある、便に血が混じる、体重が減る 病気が潜んでいる可能性があるので、医療機関を受診しましょう
過敏性腸症候群:朝の通勤(学)前に下痢になる、気がかりなことが あると下痢になる、下痢と便秘を繰り返す
ストレスが多い、不規則な生活が原因になる
腸はストレスの影響を受けやすい臓器です。
ストレスで下痢や便秘になることは誰にでもあることです 日常生活に支障がある場合に過敏性腸症候群と呼びます
下痢型(朝方に多く腹痛を伴うこともある)
便秘型(ウサギの便)
交代型
本人が困っている場合には治療を行います
それほどでなければストレス対策などが大切です
便のことを気にしすぎないことも重要です
急な便意に備えてトイレの場所を把握しておくと安心ですね
便のなやみを抱えるひとは少なくありません
食生活を見直したり、運動したり、規則的な排便習慣が大切です
長引く便秘や下痢、腹痛や血便などの他症状をともなう場合は医療機関を受診しましょう