最初にお伝えしておきますが、
「当院では、がん免疫治療は行っていません」
私の大学院の研究テーマは「がん免疫治療」の研究であったので、可能な限り、科学的に公平な情報を提供させて頂きます。
日々、がん治療は進歩していますが、依然としてがんによる死亡率は高いのが現状です。
がん免疫治療は決して万能な治療ではありませんし、科学的裏付けは高くありません。
しかし、標準治療に疲れた方、他に治療法がなく途方にくれている方、に対して、先端治療が希望を与えているのは真実だと思います。
がんの免疫治療に興味がある方に向けて、科学的な情報を提供しています。
①手術・放射線治療は局所療法であり、がんの主な死因である、「遠隔転移」には無効
②良い抗がん剤が増えてきており、延命効果はあるが、化学療法では「治癒は難しい」
③どの治療法も、侵襲が大きく、繰り返し行えない
→今でも、癌に罹患すると約半数は、癌が治癒せずに命をおとす
働きながらの治療、QOLを落とさない、治療がない
標準治療(手術・放射線・化学療法)は効果が実証された治療法です。
これらの治療を検討せずに、免疫治療などの先端治療を選択することは、オススメできません
しかし、標準治療にも限界があります
根治を目指すのは大切ですが、あるラインからは発想の転換が必要です
インフルエンザをはじめ、感染症分野ではワクチンによる予防は一般的です
では、「がん」に対する免疫治療は有効なのでしょうか?
①がんに対しても免疫反応がおこりうる
②「がん」だけが持っており、正常細胞がもっていない「がん特異的物質」が同定された
③この「がん特異的物質」をワクチンすることで、生体内に、この物質を認識するリンパ球が増加する
④このリンパ球は「がん細胞」を攻撃するが、正常細胞は攻撃しない
→では臨床効果は?
①1991年にベルギーのBOON先生らが「がん特異的免疫物質」を発見し、 がんに対するあらたな治療法として免疫治療に注目があつまりました。
②世界中で多くの臨床試験が行われ、一部の治療で、一部の患者さんの「がん」が小さくなることが証明されました。
③しかし、 アメリカの研究者 ROSENBERG 博士は、アメリカの国立がん研究所 において、440人にがんのワクチン療法を行なった結果、
「奏効」(がんの縮小)と判断できる症例は 2.6% にしか過ぎなかった
765 例での論文報告のレヴューでも奏効率は16/213(7.5 %)だった
ことをNature Medicine 2004年に報告しました。
④この発表は、がん免疫を研究する人間に大きな失望を与えました。
しかし、科学者はあきらめていません。
腫瘍縮小では測れない
小さくなっていないけど延命効果があるのではないか?
と考え、現在も最先端の研究が日本国内外で行われています。
①標準療法(手術、放射線、化学療法)をしても癌が治癒できない人が半数近くいる
②「もう治療がない」、では、「希望がもてない」
③がん免疫療法では、体内で癌に対する免疫が発生し、一部の人では癌に対する効果がある
④ただし、現時点では科学的根拠に乏しい!
限界を分かったうえであれば
治療の選択肢としてはありうる